AR(拡張現実)は、現実世界にバーチャルな映像や情報を重ね合わせる技術です。スマートフォンやタブレットを使えば、まるで“今ここ”にキャラクターや特別な演出が現れたような体験が可能になります。近年ではWebARの登場により、専用アプリをダウンロードせずに手軽に楽しめるようになり、イベントや観光、展示会、商品PRなどの現場で一層活用が進んでいます。その中でもこちらの記事では、イベントでのAR企画や活用方法について解説していきます。
ARイベント施策の種類と特徴
ARを活用したイベント施策は、単なる映像演出にとどまらず、「世界観の体験化」や「現実世界との融合」といったPR価値の高い企画として注目されています。ここでは、プロモーションに使える5つの施策を紹介しつつ、それぞれに関連する仕組みや導入効果についても触れていきます。

スタンプラリー×AR:巡って集めて当たる楽しみ
ARスタンプラリーは、地域や施設を巡る仕掛けを通じて、参加者の行動を促し、周遊させる施策です。AR起動マーカーを端末のカメラで「読み取る」ことでARが表示され、スタンプを獲得できます。一定数を集めるとプレゼントが当たる抽選のような仕組みも再現でき、ユーザーにとっても分かりやすく、ゲームのような楽しい体験を与えることができます。
たとえば、クリスマスやハロウィンの季節に合わせて、特別なキャラクターが出現するスタンプラリーを企画することで、世界観を一層盛り上げることができます。カードやステッカーといった物理アイテムと連動したキャンペーンも人気です。
ARフォトフレーム:画像・記念写真の投稿でPRに直結
イベントスポットでキャラクターやアニメーションが表示されるARフォト演出は、「SNSへの投稿しやすさ」と「記念に残る写真撮影体験」を両立する代表的な施策です。
来場者が自ら撮った画像がSNSに投稿されると、イベント自体が話題のコンテンツとして広がっていく効果が期待できます。とくにメディア向けPRにおいては、来場者の多くの投稿が話題づくりやメディア展開の素材としても役立ちます。

クイズ・謎解き×AR:ストーリー性で回遊と学びを融合
来場者が施設内を巡りながらクイズや謎解きに挑戦できるAR施策は、「ただ見る」展示から「感じて、考える」体験へとアップデートする仕掛けです。
問題を解くとARキャラクターが出現し、次のヒントを教えてくれるストーリー構成にすることで、ゲーム感覚を与え、子どもも大人も最後まで楽しみながら参加することができます。

GPS・ジオフェンスAR:現地限定の「特別体験」を演出
GPSやエリア設定によって、指定の場所でないとARが起動されない施策は、「現地でしか撮れない」「その場だけの演出」といった特別感を強く演出するのに最適です。
たとえば、観光スポットでここでしか登場しないフォトキャラクターや記念エフェクトつき写真撮影が行える構成は、ARフォトフレームとしての魅力だけでなく、来場促進にも役立ちます。複数のスポットを巡り、全スポット制覇で特典がもらえるような施策も実現できます。

タッチAR・グッズ連動:製品に「意味」と「動き」をプラス
アクリルスタンドやカードなどのグッズにスマホをタッチすると、キャラクターが実寸大で登場したり、キャラクターをアニメーションを加えて動かしたり、表情を変えたりすることができるタッチAR施策は、商品の魅力を体験化するプロモーションとして急成長中です。
限定のAR付きグッズや、特典動画の配信、ストーリーを進めるカード連携など、AR×製品による体験価値向上が図られています。
これらの施策は、それぞれ単体でも効果を発揮しますが、ファンマーケティングの視点を取り入れつつ、複数を組み合わせて展開することで、より高い集客効果や体験満足度を生み出すことができます。

成功事例:ARを活用したイベント事例集
ARは、イベントの演出だけでなく、来場者の満足度向上、SNS拡散、そしてPR効果のある投稿促進など多くの成果を生み出します。以下は実際に導入された4つの成功事例です。
Netflix × Stranger Things|Google Lensで現実に「異世界」が出現
Netflixの人気シリーズ『Stranger Things』のプロモーションでは、Google Lensを活用した拡張現実演出がニューヨークのタイムズスクエアに登場しました。ビルボードの広告にスマートフォンのGoogle Lensをかざすと、“アップサイドダウン”の異世界が現実空間に重なって表示され、来場者に驚きの体験を提供しました。
このようなプロモーションは世界観に入り込める没入感と、写真や動画としてSNSに投稿しやすい特徴があります。期間限定の演出として話題になり、ARを活用した都市型イベントの好事例となりました。
出典:https://blog.google/products/google-lens/stranger-things-new-york-times/
Childish Gambino|PHAROS ARで「音楽の宇宙」へ没入体験
アメリカのアーティスト・Childish Gambino(チャイルディッシュ・ガンビーノ)は、音楽とARを融合させた没入型アプリ「PHAROS AR」を発表しました。ユーザーはアプリを通じて、スマートフォンのカメラ越しに広がる360°バーチャル空間を探索しながら、未発表曲を体感したり、アニメーション演出と連動したストーリーに没入することができます。
この体験は単なるライブ配信ではなく、現実世界に現れる音楽の宇宙をテーマに構築されたAR演出であり、グローバルでアプリ配信されたことでも注目されました。アートとテクノロジーの融合により、ファンとのエンゲージメントを高めるだけでなく、新しい音楽表現の形を提示した先進的な事例です。
出典:https://blog.google/products/google-ar-vr/new-childish-gambino-app-pharos-ar/
Pepsi MAX|「現実」に侵入するAR広告で話題を席巻
イギリス・ロンドンのバス停で展開された「Unbelievable Bus Shelter」は、Pepsi MAXが仕掛けた体験型ARプロモーションの代表例です。バス停の透明なパネルにAR技術を組み込み、現実の街並みに宇宙船や虎、ロボットなどが突然現れるドッキリ的な演出をリアルタイムで表示しました。通行人やバス待ちの人々が驚き、笑い、動画をSNSに投稿する様子が話題となりました。
この施策は、専用アプリ不要で自然にARを体験させる点が秀逸で、体験者の「驚き」や「リアクション」そのものがキャンペーンの拡散材料となり、世界中で1億回以上の再生数を記録。AR技術を“非日常の広告体験”として活用した、先進的かつ話題性抜群のプロモーション事例です。
石見銀山世界遺産センター|「展示とAR」で来場者を引き込む

島根県・石見銀山では、ジオラマ展示に連動したSNS用ARフィルターを導入しました。歴史ある坑道の解説に合わせて、キャラクターや船が出現するARや、撮影用フィルターARが用意され、若年層にも楽しんでもらえる仕掛けとなりました。
写真撮影用フィルターはSNSに投稿するだけで記念になります。このような投稿はハッシュタグをつけたタグで拡散されやすく、PR効果の向上に繋がりました。
これらの事例からも分かるように、ARは体験価値を高めるだけでなく、回遊率の向上・滞在時間の延長・SNS拡散・購買促進など、複数の成果を同時に生み出せる点が大きな魅力です。イベントのテーマや目的に合わせて柔軟にカスタマイズできるのも、ARの大きな強みと言えるでしょう。
出典:https://ginzan.city.oda.lg.jp/
ARイベント導入の流れ
AR導入は複雑に見えて、システム的には明確なステップを踏めばスムーズです。以下に、導入の流れとその中での“お役立ちキーワード”を紹介します。

1. 目的とターゲットの設定
集客・SNS拡散・PR記事掲載・参加者の回遊・グッズ購入など、目的を明確にします。そのうえで、ファミリー層・観光客・若年層・ビジネスマンなどのターゲットを絞り込みます。
2. コンテンツ・仕組みの選定
フォトAR、スタンプラリー、グッズ連動、クイズなどの種類を選定し、技術的にはWebAR/アプリ/GPS/タッチARなどの仕組みを選びます。予算と期間、掲載ページやPRとの連携も設計段階で整理しておくとスムーズです。
3. 制作と開発
キャラクターモデル、画像演出、動画演出、ボイス、アニメーション、台詞などARに必要な素材の制作を行います。ノベルティやチラシ、イベントページなどのプロモーション素材とあわせて制作します。
4. テストと導入
現地でのGPS精度と通信状況、カメラ読み取り精度、タッチ操作などの動作確認を行います。特に「読み取る」操作に不安がないか、幅広い年齢層が“簡単に体験できる”設計ができているかの検証が重要です。
5. 実施と効果測定
起動数、フォト撮影件数、投稿数、ページアクセス数、プレゼント応募率、回遊率、アンケート評価などを集計・分析。SNS・Web・記事などにおける拡散状況も可視化して、次の施策に活かします。
ARがイベントでの活用が注目される理由
スマホ一つで始まる“世界観”の構築
現代のイベント会場の企画では、来場者がただ見るだけでなく、“自分で楽しみながら参加でき体験できる”ことが求められています。ARは、目の前の現実世界に“もう一つの世界観”を重ねることで、単なる展示や説明を没入型の体験へと変えるメリットがあります。
例えば、街中を巡ってクイズに答えるARラリーや、スマホをかざすと登場キャラクターが話しかけてくるARガイドなどは、「参加型のストーリー」として展開され、記念写真の撮影やSNSでの投稿につながりやすく、イベントの自然な拡散にも貢献します。
SNS×記念性で「拡がる体験」
InstagramやX(旧Twitter)などのSNSでは、「ここでしか撮れない」「期間限定」「映える」などの要素が特に拡散力を持ちます。ARフォトフレームやキャラクターとの共演ができる体験は、その瞬間を画像や動画に残しやすく、記念としてSNS投稿されることが多く、結果としてイベント自体のPRとして機能します。
非接触・非対面でも安心・安全に導入可能
WebARはブラウザ上で動作するため、インストールの手間がなく、非接触・非対面でも体験が可能です。紙のスタンプカードや共用の端末を使わなくて済むため、イベント期間中でも安心して導入できる施策として評価されています。
また、操作も直感的でわかりやすいため、お子さまから高齢者まで幅広く活用されており、アニメ・恐竜・ライブ・イラストなど“誰でも楽しんでもらえる”テーマに合わせて自由に表現できる柔軟性があります。
まとめ
「スタンプを“集める”」
「会場を“巡る”」
「SNSで“投稿する”」
「商品と“つながる”」
「ARを“楽しむ”」
このすべてを、1つのシステムで実現できるのが、ARという体験設計ツールの魅力です。
ARは今や、販促やイベントだけでなく、教育、観光、文化発信にまで活用が広がっています。あなたの企画に「もう一つの世界を添える」なら、ARの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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Web AR、タッチARなどを活用した事例も確認できます。
是非参考にしてみてください。
デジタルスタンプラリー×AR活用事例のご紹介
こちらはデジタルスタンプラリーにARを活用した企画の事例集です。
観光×ARに関する活用事例のご紹介
こちらは観光マーケティングに活用できるARの事例集です。